隣町のカタストロフ 第1話:堕ちたエース(前編)
この話の物語は地変天異が発生する1時間前の史弥(ふみや)といった男性が主役だ。引きこもりニートの史弥はカーテンを開けて隣の家を覗き込む。同時に過去の回想へ。
史弥はニートになる前、高校でも一目置かれる野球部のピッチャーであった。学校中から声援を受ける史弥。そして史弥には幼なじみの千里(ちさと)といった女性がいつも側にいた。二人は付き合っていないが良い感じ。
そんな千里が翌日の野球試合が終わったら時間をくれないかと言ってくる。史弥はもしかしたら…なんて感じの表情だ。
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しかし、野球部の試合は敗れてしまう。試合後、同じ野球部である藤巻に罵声を浴びる史弥。学校からの帰り道、史弥の顔は顔面蒼白状態でショックで落胆を隠しきれていない。そして千里との待ち合わせもスルーしてしまう。それから史弥は引きこもりニートになる。
あの時から4年が経過してカーテンから千里の家を覗き込み、物思いに耽る史弥。人生に嫌気がさしてベットに横たわると地震のような大きな揺れが起こる。
気がついた史弥は異変に気づく。
窓を除くと地上と空が逆転している。地上となった空へ吸い込まれていく人間や構造物。そう、5月28日午前10時12分に地変天異と名付けられる現象が発生した。
史弥は母のことが心配になり自宅の中を探す。しかし、史弥の母は首が直角に曲がっており、帰らぬ人となっていた。
現実逃避しようとする史弥だったが外から大きな物音が聞こえて我に帰る。向かいの家。そう千里の家が今にも地上となった空へ崩落しようとしていた。千里の宅内に人がいないか心配になり久しぶりに声を荒げる史弥。大声が出なく咽る。
千里ーいるかー
そう叫ぶと窓から千里の姿が。史弥に助けを求める千里。地上と空が逆転していることで気が動揺している千里を落ち着かせる史弥。
史弥は自宅と千里の家の間にロープを渡らせようと野球ボールにロープを括り付けて千里のいる窓へ投げる。見事に届き家の間のロープを渡らせることに成功。
恐怖に震えながらも何とか史弥の自宅まで辿り着く千里。ちなみに千里がロープを渡っている時、史弥は高校時代にした待ち合わせの約束をスルーしたことを悔いており、小声で「千里、絶対守るから、そして謝る」と呟く。千里には聞こえていない。
動揺している千里に飲み物を与えるため、取りに行こうとする史弥に千里が言葉をかける。どうやら千里の家にはまだ人がいるらしい。
そうか…やっぱりご両親もいたのか…
ううん、彼氏(*´∀`*)
史弥は一瞬固まる。 しかし、泣きながら千里に彼氏を助けて欲しいと懇願される史弥。さぁ…どうする。